組織を進化させる為の二者選択 ⑦

瀬本博一

あなたの会社が欲しいのは

「イノベーション人材」それとも「コンサバ人材」?(その4)

   

VUCA時代に進化できる会社を創る人材とは

VUCAの時代は宇宙人との闘い

高度成長期は「人間対人間」の競争、つまり相手の戦略や姿が見えていた状況の中、同業者同士で競争が行われている時代でした。しかし、今は違います。「人間と宇宙人」の戦い、つまりデジタルと言う武器を持った見えざる相手が他業界から侵入する時代、あるいは今の顧客をそっくり横取りされる時代です。このような時代を「VUCAの時代」と言いますが、事実、アパレル業界で長年にわたって事業を行ってきた企業などは、最近誕生したプラットフォーム企業に売り方や収益のしくみを根本から変えられてしまい、収益も急降下している状態です。飲食業もウーバーイーツや出前館等のプラットフォームの影響力が高まりこれらのビジネスモデルを無視することはできなくなっています。

イノベーション人材とコンサバティブ人材の共創を

このような「VUCAの時代」に自社の生き残りと進化を掛けて、先進的な企業は「イノベーション人材」の獲得と育成を最優先課題として様々な取り組みを始めています。その一つとしてコンサバ人材とイノベーション人材との共創、つまり「発見力」を持つイノベーション人材からの提案を妨害せず、「実行力」があるコンサバティブ人材がそのアイデアを既存の事業に取り入れるしくみを創ったり、若手社員を他業界と交流させて新規事業の共創を生み出すしくみの構築などを進めているのです

二者の間を取り持つ「第三者」を創ろう

とはいえ、イノベーション人材とコンサバティブ人材の間には大きな壁があるのが現実。先日も宇宙事業などを手掛ける大手製造会社のイノベーション事業統括者が「イノベーションチームが発案した新規事業を現業部門が受け入れずに困っている」とグチっていました。前者は「会社の未来を左右するイノベーティブな事業なのに」と苛立ち、後者は「すぐに収益があがる事業じゃないのに人や予算を割けるか」と思っているわけです。ではどうすれば良いか。その答えは両者の間を取り持ち、イノベーティブな発想を現業部門の責任者に「腹落ちさせる」ことができる「第三者」を創ることなのです。では誰がどうすればその役割を担うことができるのか?その詳細については次回(最終回)紹介します。